「私が教室でいつも心掛けていることは、言葉で具体的に説明すること」

私の教室には過去にダンスを習った経験がなくて大人になってから初めてフラメンコを習う生徒さんがほとんどなので、私は言葉で具体的に説明しようといつも考えています。

ここに書いてある言葉を読めば、教室の生徒さんは注意すべきことを思い出すでしょう。

たくさんのフラメンコの先生たちに習ってきましたが、私がレッスン中に生徒さんに伝えていることはバレエから学んだこともとても多いです。

バレエでの学びはフラメンコにすべてつながっています。

私はダンスを習った経験なし、運動神経もなしで高校2年生の時にフラメンコを習い始めたのですが、腕の動かし方や正しい姿勢など踊りの基本を知りたくて、フラメンコ上達のためにクラシックバレエも習いたいと思うようになりました。

大学生になってバレエをはじめて習いました。 そのバレエ教室がかなりの上級者向けだったので、はたから見たら相当かわいそうな様子だったと思いますが、半年くらい毎週通いました。 

大学3年でスペインに留学した時に、もう一度バレエに挑戦しました。スペイン人の少女たちにまじってのレッスンは面白かったです。センターレッスンではカスタネットも習いました。

日本で就職してからはバレエは何年も習わず、その後結婚して出産して育児が少し落ち着くたびにバレエを再開してはまた中断することを繰り返していたのですが「バレエは必要」とずっと気にしていました。

3人目の子供が小学校に入学すると自分の時間が増えたので、規則正しく週に数回バレエ教室に通うようになりました。バレエが楽しいと感じるようになったのは、それからしばらく経った頃です。

今では「フラメンコの上達のため」という理由を越えて、バレエも私にとってなくてはならないものです。

バレエを続けることで、フラメンコの踊り方だけでなく私の教え方の質もとても変わりました。自分が踊りの基本をわかっていないと生徒さんの立場に立った丁寧な指導はできません。

あと、指導者の言葉は教わる人の心に一生残る、ということも私がいつも忘れないようにしていることです。

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(1)「お腹の力で地面をぐっと押して、体を押し上げ続けているのが踊り手の立ち方です」

バレエ教室で自分がいつも注意されていることを、責任もって忠実に自分の生徒さんたちにも伝えています!


(2)メリハリ、緩急をどうやってつけるか考える。


(3)体の球体、四角、三角を意識する。


(4)ひじの内側から空間をつくる。腕の外側だとムキムキしてしまいます。


(5)肘を胴体から離す。脇の下に空間を保つことを忘れずに。


(6)おへその前に土踏まず。


(7)重くて粘りがある空気を押す感じ。動かすものは腕でなくて空気。


(8)腕は背骨から生えている。これを心掛ければ腕が疲れません。


(9)ゴルペを続けて3回4回。ひとつひとつ違うはず。どこがいちばん大事かわかってきます。


(10)“円柱形は速い。円柱形は強い”

「生き物は円柱形」というお話(子供が小学生の頃の国語の教科書に載っていた)、踊りをやる人が読むと、きっと学びが多いですよ。


(11)「カスタネットは、鳴らすのでなくて響かせてあげたい」

これは音楽家である生徒さんの言葉。 楽器への愛を感じました。 


(12)土踏まずの下に蟻。 蟻をつぶさない。

足の裏とお腹はつながっているのですね。


(13)アバニコもコルドベスも背中から。 腕は背中から生えている。


(14)出すより戻す方が大事。


(15)後ろ側、裏側、内側、反対側を意識する。


(16)よく働いているのは目立っていない方。


(17)鳩尾のホックを弾き飛ばさないように。 脇腹は常におへその方へ。


(18)味は時間がたたないと出てこない。

多和田葉子さんの小説の中にティーバッグでお茶を作る場面があり、そこに「色はすぐにつくけれど味は後になってから」という文があって、
私はそれをフラメンコに結び付けて読んだのでとても心に残っています。


(19)反対方向に引っぱりあう2本の矢印をイメージする。


(20)顔が向いていない方に気を配る。

人は、顔が向いている方向に意識の8割が行ってしまうとか。


(21)上あごを床と平行にする。


(22)上半身先行。


(23)もっと足の裏で床を舐めて。

もっと床を踏み込んで。

もっと床を踏みしめて。

もっと床を蹴って。蹴り上げて。

これらはいつもバレエで言われる言葉。フラメンコにもつながりますね。

足の裏は本当に大事。


(24)あご先を肩先に乗せるくらいのつもりで、首を動かす。


(25)「目は体を支えることにも重要」

スポーツを頑張っている次男の言葉。

目をつぶって片足立ちでバランスをとるトレーニングの時に思ったそうです。

踊りにも通じていると思います。


(26)タコンを慌てず丁寧にコントロール。

バレエでも「かかとは脚の司令塔」と習います。

かかとをおろそかにしてはいけない、ということですね。


(27)「体の前で木の幹を抱え込むように・・」と言う代わりに「体の前で真っ赤な熱い鉄の柱を抱え込むように・・」と言ったら、

生徒さんたちの背中に緊張感が表れて格段にきれいに!


(28)ブエルタの後に一瞬の静寂がほしいですよね。

やはりお腹の力と背中の力なのでしょう。


(29)洗濯一日4回。たくさんの洗濯物を干すのに疲れたら、背中の下の方を誰かに支えてもらっているのをイメージして肩をおろすと、持ちこたえられます。

踊っている時も同じです。 肩をおろすと心身が安定します。


(30)肩・肘・手の先、肩・肘・手の先。

腕をしなやかに動かす呪文。


(31)呼吸が見えると踊りが生き生きする。吸ったら必ず吐く。


(32)上半身は上、下半身は下。

当たり前のようでいて、難しいです。


(33)いつでも縦べそ!

と、子供たちが食事中に姿勢が悪い場合にもこれを言います。


(34)腕の付け根と脚の付け根をへこませない。


(35)正面と真横の真ん中が45度。


(36)どのような強さ、どのような弱さなのか。


(37)足をパカッと出さない。反対側の足首を少し擦る感じで。


(38)腕の動かし方

ずっと平坦に動かすのではなくて、 たとえば上から下へ動かす時には下ろす時は速めで上げる時はゆっくりめ。 上げる前に少しの”ため”があると良い感じです。

お辞儀の仕方とも共通点がありますね。

小1の時、初めてのピアノ発表会の前に先生からお辞儀の仕方を習いました。

「頭を上げる前に動きを少し止めて、上げる方をゆっくりめにするときれい」

(ピアノを習っていた経験が、リズム感と関係ないところで役立っている!)


(39)おへその下に逆三角形をイメージして、その頂点が真下を突き刺すように。


(40)腕を先に準備。


(41)「フラメンコってキリっとしていて誇り高い感じ」

フラメンコを始めたばかりの生徒さんの言葉。

私も本当にその通りだと思います。


(42)おへその左右の筋肉を縦にのばす。

「こんなこと、今まで意識したことなかった!」

初めてバレエを習った時、ここが踊りの基礎がある人とない人の違いなんだなあと特に思った点です。 腸腰筋ですね。


(43)音をのばすところか、切るところか。


(44)ブエルタのこつは脇腹。


(45)軸がどちらにあるのかをはっきりさせる。 

フラメンコと違って、バレエでは片足でつま先立ちになって長い時間立っていたり回転したりとバランスをとるのが難しいことをするので、軸が左右どちらにあるのかをしっかり意識するようになります。

このことはフラメンコの上達にもとてもつながります。


(46)誰かからチョキにした指で背骨を押して持ち上げられている感じ。


(47)肩甲骨をジーンズの後ろポケットにすとんと入れる感じ。

ピラティスの先生の言葉。シンプルでわかりやすい。


(48)上手なフラメンコの踊り手の足先は床に吸い付いていくように見えます。

これはバレエを踊る人にも共通していると思います。


(49)奥歯を食いしばると口角が上がるの知ってましたか? そういう状況下でこそ微笑みを、という意味でしょうか(でも踊る時、歯は食いしばらないように)。

以前ピラティスをマンツーマンで数年間習っていて今でもピラティスの本を読むのも好きで、バレエ教室でも体の構造についてたくさん教えてもらっているのですが、人の体はよくできているなあとつくづく思います。

口の中も、踊りに影響すると思います。(57)に書いてあることもご参考に。


(50)下の方から。 奥の方から。


(51)「楽なところでやめない、ということですね」

生徒さんの言葉。 私もしっかり覚えておきたいのでここに書いておきます。


(52)「肩が上がってしまうのは顔が力むから。目の可動域を広くすればいい」

あるスポーツを頑張っている息子の言葉。 君もやっぱり肩が上がるのが悩み?

踊りにも思い当たります。


(53)テンポがゆっくりな時に、単に”のろい”だけにならないようにするにはどうすればいいのか、と考える。


(54)腰に腰掛けない。


(55)全身が楽器。 ああ難しい。


(56)お尻がかかとのラインからはみ出ないように。


(57)口を閉じている時には舌を上あごに常につけておく(かなりしっかりと、押し上げるように)。

顔のラインも変わりますし、健康上にも良いそうです。 

全身の安定感も違うように感じます。


(58)足は一発、手に余韻。


(59)お尻はひとつ。 ふたつに割らない。

正しい姿勢の基本ですね。

余談ですが、子供たちにNHKラジオ英会話を長いこと聴かせていて、末っ子もかなり小さい頃から兄、姉と一緒に聴いていたのですが、末っ子が3歳の頃にお風呂あがりに「尻がふたつでシリーズ!」と言ったので、子供の理解力はすごいなと思いました。


(60)鉄分を多めに。

末っ子は今は短距離走を頑張っています。 足の裏に大きな衝撃を受けることを続けている人は、特に鉄分を多くとった方が良いそうです。

私も貧血気味と毎年健康診断で言われているので合点が行きました。 フラメンコの踊りを頑張って練習している人は鉄分不足に気を付けて。


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大事なレッスンポイント、読んで下さってありがとうございます。

どれも大事なことなのですが簡単に体得できることではないので、フラメンコに足を踏み入れた入門クラスの方たちに、フラメンコの基本としてまずこれだけは特に!と私が言っていることは、以下のことです。

(1)お腹の力で地面をぐっと押して、体を押し上げ続けているのが踊り手の立ち方

(8)腕は背骨から生えている

(15)後ろ側、裏側、内側、反対側を意識する

(17)脇腹は常におへその方へ

(23)もっと足の裏

(33)いつでも縦べそ