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2024年04月
2024.04.16
スペイン人の名前のこと(フラメンコブログ フラメンコ教室エルソル)
先日、ビクトルエリセ監督の新作「瞳をとじて」を観ました。
出産間近の妻が、娘にはフアナと名付けたいと言うと、夫が「フアナは古くさい。エストレージャがいい」と言う場面がありました。
数年前に観た「ペトラ」という映画でも、主人公のペトラが自分の名前を「古めかしい名前でしょう?」と言っていたので、スペイン人の名前にも時代によって違いがあるのかなと思いました。
スペイン人の名前について思ったことを書いた投稿です。
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「スペイン人の名前のこと」(フェイスブックの過去の日記より)
グラナダに1年間留学していた時、100人のスペイン人女子学生と寮生活をしていました。
私の同期に当たる1年生の寮生22人のうち、マリアが5人いました。
日本人にとって、スペイン人女性といえばこの名前、というイメージが強い「カルメン」は、100人のうち1人だけでした。
男性名で多い名前はもしかしたらホセかもしれませんが、これは聖母マリアの夫のヨセフのスペイン語名です。
マヌエルも多い気がします。これはイエズスキリストの別名です。
イエズスのスペイン語名の「ヘスス」が多いことにも驚きました。親が子にヘススと名付ける時に畏れ多いという気持ちはないのかなと思ってヘススという名の本人に聞いたことがありますが、残念ながら何と答えてくれたかは忘れてしまいました。
人の名前から、ここはカトリックの国なんだなーと感じることはよくありました。
女性名に「アングスティアス(苦しみ)」や「ドローレス(苦しみ、悲しみ)」が多いことにも驚きました。マリアさまやキリストの心に寄り添う、ということなのでしょうか。
「マグダレーナ」も私にとっては意外な名前でした。
私はカトリックの学校に通っていたので(スペイン系の学校だったのです。縁とは不思議)、マグダラのマリアの話は知っていますが、ちょっと知ってる位ではなかなか娘にその名をつけられないな、と思います。
理解の深さが違うのでしょう。
中学か高校の頃、聖人の中でもマグダラのマリアは人気があると先生から聞いたことがありました。
聖人に対してそういう感情を持つのは面白いと思いました。
挫折を経験した人、完璧でない人の方が魅力的、ということかもしれません。
ちなみに私がようこと名付けられた理由の一つは、オノ・ヨーコさんと同じだからです(漢字は違いますが)。
「ようこ」だったら外国の人も呼びやすいし、オノ・ヨーコさんと同じ名前なら覚えてもらいやすいだろう、と親が考えて付けた名前です。
私はようこです、とスペイン留学中に最初に自己紹介すると、いろいろな国の人達から「ヨーコ·オノと同じ名前だね!」と言われました。
親が願った通りになったなあと驚きました。
2024.04.14
セビージャの春祭りの思い出(フラメンコブログ フラメンコ教室エルソル)
娘に「セビジャーナスを踊っている人の絵を描いて」と頼んだらこういう絵を描いてくれました。
雑だけれどかわいい絵をささっと描くのが得意。
私の教室でも、最近になってセビジャーナスをペアで踊る練習を再開しました(コロナ禍の頃からやめていました)。 生徒さんも楽しそうです。
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「セビージャの春祭りの思い出」(フェイスブックの過去の日記より)
4月になると毎年必ず思い出すのがセビージャの春祭り(Feria de Abril de Sevilla)。
私が行った日は小雨が降っていましたが、テレビやガイドブックで見たままの華やかな世界で感激しました。
たくさんのカセタ(テント小屋)がありました。
テーブルの上に飲み物や食べ物があって、ステージでは楽しそうにセビジャーナスを踊っていたりバンド演奏をしていたりショーをしている様子を外から見ることが出来ました。
そういうところはプライベートのカセタで仲間内だけが入れるところです。
入り口付近にいる人に「すみませんが入っても良いでしょうか···」と何軒か聞いてみると、「さあどうぞどうぞ、セニョリータ」とフレンドリーに招き入れられた、ということはな・く・て、「会員制ですので」と当然ですが断られました。
少しは期待していたのですが。
誰でも入れる公営のカセタは大にぎわいで、セビジャーナスを踊っている時に他の人とぶつかりそうになるのですが、それも楽しかったです。
グラナダに帰ってから寮のみんなにフェリアの感想を聞かれ、「馬の糞だらけで避けて歩くのが大変だった」と答えていたことを思い出しました(しかも雨でぬかるんでいましたし)。
もっと気の利いたことを言えば良かったなあと今更遅いですが反省。
セビージャの春祭りの始まりは家畜見本市だったそうで(だからFeriaなんですね)、上流階級の人は馬や馬車に乗って来たので、今も馬車や馬が多いのはその名残なのだそうです。
コロナで多くの国でお祭りを開催できませんが、伝統が消えずにお祭りを再び楽しめるようになってほしいですね。
(コロナ禍の2021年くらいの投稿)
2024.04.06
カーネーションの記憶(フラメンコブログ フラメンコ教室エルソル)
花屋さんではもう母の日に贈る花の宣伝をしていますね。
スペインの国花は赤いカーネーションです。十字架から下ろされたイエスを聖母マリアが抱いた時に、彼女が涙を落とした地面から赤いカーネーションが咲いたというお話があるので、それと関係あるのかなと思っています。
カーネーションといえば必ず思い出すことがあります。
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「カーネーションの記憶(スペインの寮の思い出)」(フェイスブックの過去の日記より)
きっとスペインで昔からずっと親しまれているのだろうと思う歌で、「クラベリートス」があります。
「可愛いカーネーションよ」という意味です。
クラベリートスをよく歌っていたのが、トゥナと呼ばれる男子学生の音楽隊です。
トゥナの一団は16、17世紀の学生の伝統的な服を着て、セレナーデをギターなどで演奏して歌います。
衣装も優雅でかっこよく、趣があって素敵でした。
大学のいろいろなイベントでトゥナがクラベリートスを歌い、それに合わせ他の大学生たちも″クラベリートス、
クラベリートス....″と歌っていました。
ある日、私が住んでいた女子寮のホールにトゥナが来た時がありました。
(その日の朝食の時に、ある一人の面白いタイプの子が食堂に入って来るなり「チコー!(男子ー!)」と叫びみんなを笑わせました。日本の女子校と同じだなと思いました)
ホールにみんなが集まり、トゥナの演奏と歌に聴き入りました。
しばらくすると、男子達が女子達にダンスの申し込みをし始めました。
男子から差し出された手を女子が取ると、男子はホール中央まで女子をエスコートしました。
男子は女子の背に手をまわし、女子は男子の肩に手を置き、もう一方の手を軽く握りあって向かい合って踊り始めました。
私も早い段階で数人に申し込まれたのですが、その手のダンスの経験がなく恥ずかしくて断ってしまいました。
ノリの悪さでチャンスを逃す、これは若い頃の私のいつものパターン。
再び誘われることなくそのままとうとう壁の花・・・・。
皆さん、同じチャンスは二度と来ないのです!
ちなみにスペイン語で、壁の花になることを「七面鳥を食べている」と言います。
私が考えるには、パーティーで人の輪に入れず黙々と七面鳥を食べている様子が由来なのではないでしょうか(涙)。
クラベリートス、クラベリートス····。
尻込みしたことを悔やんでも後の祭り。
いつまで歌い踊れば気が済むんだと思いながら楽しそうに踊る人達を眺めている時間の居心地悪さといったら!
自分に対してももちろん、自分の子供達にもこれを覚えていてほしい。
「恥ずかしがらず、人目を気にせず、まずはやってみる」
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