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2023.10.24

スペインで初めての仮装(フラメンコブログ フラメンコ教室エルソル)

ハロウィンで仮装しますか?

大人になってから仮装したことありますか?

私はグラナダの女子寮の新入生歓迎会でヤシの木になりました。

これが人生で最初で最後の仮装だったと思います。

★~★~★~★

 「スペインで仮装」(フェイスブックの過去の日記より)

入寮して数週間経ったころ、新入生歓迎会(novatada)がありました。

これは寮に入った新入生にとって避けて通れない試練です。

その時期に、顔に落書きをされた男子学生が外を歩いているのをよく見かけました(これは全然おとなしい方だと思います)。

新入生歓迎会においては上級者からの命令は「絶対に従わないとならない」もので、女子寮なので穏やかな方でしたが、陽気に見えるスペイン人のティーンエイジャー達でさえ、数日前から緊張して憂鬱そうな顔をしていました。

命令の一つが仮装でした。
歓迎会の前日にひとりひとりへの仮装の指示が発表されました。
私への仮装の指示は「palmeroヤシの木」でした。
フラメンコで手を叩く男性のこともpalmero(女性はpalmera)というので、「これは木の方だよね」と確認しました。
他の人達は、ピンチート(爪楊枝に刺さったおつまみ)、ボカディージョ(フランスパンのサンドイッチ)、有名人やドラマの主人公等に仮装しました。そういえばティオペペもいました。


仮装のための段ボール等の材料を集めにみんなで近所のお店を回りました。そのため私はフラメンコレッスンを休みました。


仮装以外にやらないといけなかったことは、各々指定された先輩へのプレゼント(小物入れになる箱)の手作り、それと、お芝居や楽器演奏や歌の披露でした。私はセビジャーナスを踊りました。


歓迎会は夕食後に広い玄関ホールで行われました。
まずは仮装した姿を見せて笑われて、そのあとの準備のためいったん部屋に戻った記憶があります。

そして、ここからが恐怖の歓迎会。
先輩たちは皆サングラスをして黒い帽子や黒いマフラーで表情を隠し、黒ずくめの服を着て床にあぐらをかいて車座になり、新入生たちを待ち構えていました。

最初は誰も笑いも喋りもしないシーンと静まり返った中で(先輩たちの演技)、ひとりずつ輪の中央に出て行って芸を始めるのです。
想像するだけでぞっとしますよね?
みんな覚悟を決めて、この雰囲気を振り払って先輩たちを笑わせようと頑張りました。
恥ずかしいからやらない、という子がいなかったのだからすごい国民性だなと感心しました。
(途中から先輩たちが急に手拍子を始めて一気に盛り上げてくれる、というのが毎回のお決まりの流れでしたが)


そういえば、「こんなトンテリア(馬鹿げたこと)に付き合っている暇はない」と歓迎会前日に不機嫌そうに言っていた子がいましたが、本番では頑張って歌って踊っていました。
これはお遊びなのだから、泣いたり怒ったりしては駄目だよと私にアドバイスしてくれた子もいました。
陽気なだけでなくて、自分をコントロールできて大人なんだなと思ったことを思い出しました。
私も、とにかく無我夢中で乗り切った、よく頑張った経験でした。

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